エッセイ野尻湖50年(2) 【NGTに別荘持つことの価値】松風台南14 内藤壽夫
昨年は私の50年以上になる野尻湖とのかかわりでも記憶にない豪雪であり、現場職員は大変な苦労であった。数年前は逆に降雪は少なく、除雪回数は少なかった。今冬なんとマイナス15℃を記録した。このように温暖化は一進一退を繰り返すので本当かと疑問視する方もある。専門的な議論を避けて結論を言えば、コロナ禍やウクライナ侵攻をよそに確実に進んでおり、危険な領域に達している。NGTが創設されたころの10年間の東京猛暑日数は15.3日であったが最近10年間は34.6日に倍増している。厚労省データでは、首都圏4都県(東京都、神奈川、埼玉、千葉)の熱中症死者数は2017年には42名であったが2020年には580名と増えている。温暖化は更に加速すると予想され、盛夏の首都圏は誠に住みにくいところとなりそうである。
さて、野尻湖付近の変化を色々調べてみると平均気温上昇度は、全国平均並みで、信濃町の気温も(小丸山公園付近で観測)最近では盛夏33℃に達する日も出ている。しかし、日が暮れるとエアコン無しで十分眠れる。NGTの大部分は樹林の中にあり、この効果も大きい。更に午後は妙高山付近から涼風が吹き込むため、標高730mの小宅は最高28℃を超えることは殆どない。ちなみに標高約950mでより涼しいはずの旧軽井沢は盆地状であまり風が吹かないので盛夏の午後はかなり暑い。野尻の現在状況が長続きし夏季に快適に過ごせることを願っており、NGTに別荘持つことの価値は高い。
最近の研究では、温暖化の影響で偏西風の勢いが弱まり、蛇行する傾向が出てきている。偏西風が日本列島の南に膨らむように蛇行するとシベリア寒気が南下し、日本海の水蒸気量の増大も寄与して大雪となり、また逆に北に膨らむと太平洋の暖気が入り込んで暖冬となるという。NGTもこの影響で今後大雪の年と温暖で降雪の非常に少ない年を繰り返す頻度が高まるかもしれない。NGTの経理、財政安定への影響も少なくない。
コロナ禍は、インターネットの普及と相まってリモートワークを広める大きなきっかけとなった。2020年夏には、NGTでリモートワークされた方もおられた。災害含めて有事に本宅以外に生活拠点を持つことの意義が認識され、首都圏から交通の便の良い軽井沢の不動産が高騰する契機となった。首都圏など人口密集地域は、直下型地震、低地での浸水、長期停電など様々なリスクがあり、今後リスク増大も予想されている。考えたくないが他国からミサイル撃ち込まれかねない事態があったとき、どこに避難するか? 最早80年近く昔になる戦後に、実は田舎の実家が食料調達含めて大きな役割を果たしたことを記憶する人は稀になっている。NGTでは、現在あまり使用頻度の高くない別荘が悪循環に陥り廃屋化する問題を抱えているが、別荘を持つことの意味を、有事の生活拠点にもなり得るという視点で見直すことを期待したい。
※ 2023年 4月16号「春のお便り」 野尻湖グリーンタウン通信
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野尻湖グリーンタウン神山ロッヂに設置されたカメラからの3分ごとのライブ映像
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野尻湖グリーンタウン美山ロッヂに設置されたカメラの映像
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