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秋晴れの１日

昨日（11月4日）は、乾いた冷たい空気と暖かい光が見事に調和した秋晴れの１日でした。美山の管理棟前の道路が左右に分岐するところの紅葉がとても綺麗でした。人生の秋は二回は来ませんが、植物は春に新緑、秋に紅葉と繰り返せるのが羨ましいですね。
奥山に　紅葉踏みわけ　鳴く鹿の　声きく時ぞ　秋は悲しき
　　　　　　　　　　　　猿丸太夫（5番）　『古今集』秋上・215　　　
ご存知百人一首の歌です

紅葉葉(もみじば)に　ゆらぎたゆたう　秋(とき)の光　ともにめでなん　せこのおもはゆ
　　　　　　　　　　　　　高倉郎女　『仏光寺文書』
「せこ」は今の言葉では「夫」ないし「彼氏」。紅葉を彼と一緒に楽しみましょう、という意味か。それとも紅葉よりも、彼の目に映る紅葉を楽しむ、という情熱的な意味か。「おもはゆ」は顔の意味もあるが、「まなざし」でもあるそうです。高倉郎女は、京都仏光寺高倉に住んだ尼僧。慈円(1155-1225)の弟子とも定家(1162-1241)の弟子とも言われている。最近発見された仏光寺文書にでてくるそうです（京都の飲み屋で酔っ払った研究家から聞いた話ですから、真偽のほどは不明）。

　野尻湖にもやがて厳しい冬が来ます。冬の嫌いな方は、有名な「冬來ならば、春遠からじ」を思い起こしてください。原文は、イギリスロマン派の詩人シェリーの詩「西風に寄せて」の一節If winter comes, can spring be far behind?ネットでは「誤訳ではないか」という意見もありますが、名訳にはちがいないですね。